連結キャッシュ・フロー計算書の作成マニュアル
連結キャッシュ・フロー計算書の基本的な作り方は、(個別)キャッシュ・フロー計算書の作り方と大きく変わりはありません。
本書では、まずは基本的なキャッシュ・フロー計算書の作り方を学んでいただくために、「第1章キャッシュ・フローの基本」にて、キャッシュ・フロー計算書とは何か、貸借対照表や損益計算書との関係、さらにはキャッシュ・フロー精算表というワークシートを用いた作成の仕方を解説しています。
そもそものキャッシュ・フロー計算書の作成方法などについて知りたい方は、「第1章 キャッシュ・フローの基本」をぜひ見てください。
連結キャッシュ・フロー計算書の論点については第2章以降で記載しています。
「第2章 連結キャッシュ・フローの基本」では、連結キャッシュ・フロー計算書の基本的な作成の仕方や、連結固有の論点である、非支配株主持分がある場合の基本的な考え方について解説しています。
「第3章 連結キャッシュ・フロー計算書作成の実務」では、より実務にお役立ていただけるように、連結キャッシュ・フロー計算書を作成するために実務上で検討が必要な事項をまとめています。キャッシュ・フロー項目の検討や勘定科目の細分化の検討、子会社から情報を集めるための連結パッケージの検討など、はじめて連結キャッシュ・フロー計算書を作成する場合などに参考にしていただきたいと思います。
「第4章 連結キャッシュ・フローに関する各種論点」では、子会社における増資や減資,子会社株式の追加取得・一部売却、新規連結や連結除外など、連結固有の論点のうち、特に資本連結に関する事象があった場合の連結キャッシュ・フロー計算書での注意点についてまとめています。
また。その他の諸点として、固定資産に関する未実現利益の消去や持分法適用会社がある場合の連熱キャッシュ・フロー計算部の作成についても記載していますので、ぜひ当事象がある場合には参考にしてください。
「第5章在外子会社がある場合のキャッシュ・フロー」では、在外子会社に関するキャッシュ・フローのさまざまな論点を解説しています。在外子会社の個別キャッシュ・フロー計算書の換算方法や、資本連結や内部取引に関する連結キャッシュ・フロー計算書を作成する際の注意点なども解説しています。
すべての章において、簡単な設例を付けていますので、単に読んで理解するというだけでなく、設例を解くことで、連結貸借対照表や連結損益計算書から、連結キャッシュ・フロー計算書への金額のつながりを理解していただける構成としています。
理解を深めるためにも、ぜひ、手を動かして設例をやっていただくことをお勧めします。また、設例の解説で付けている連結キャッシュ・フロー精算表は、簡単な数値ではあるものの。実際に実務でご利用いただけるフォーマットになっていますので、ぜひ実務でもご参考にしていただけたら嬉しいです。
本書が、連結キャッシュ・フロー計算書作成に携わる皆様の一助となれば幸いです。
飯塚幸子
第1章 キャッシュ・フローの基本
1 キャッシュ・フロー計算書とは
(1)キャッシュ・フロー計算書とは
(2)キャッシュ・フロー計算書の必要性
(3)キャッシュ・フロー計算書の表示区分
①営業活動によるキャッシュ・フローの区分
②投資活動によるキャッシュ・フローの区分
③財務活動によるキャッシュ・フローの区分
(4)キャッシュ・フロー計算書の表示方法
①営業活動によるキャッシュ・フローの区分の表示方法
②投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの表示方法
2 キャッシュフローと貸借対照表、損益計算との関係
(1)収益、費用とキャッシュ・フローの関係
●設例1-2-1 ●すべてが現金取引の場合
(2)資産の増減とキャッシュ・フローの関係
●設例 1ー2-2 ●売掛金(資産)の増加がある場合
●設例 1ー2-3 ●売掛金(資産)の減少がある場合
(3)負債の増減とキャッシュ・フローの関係
●設例 1-2-4 ●買掛金(負債)の増加がある場合
(4)純資産の増減とキャッシュ・フローの関係
(5)まとめ
●設例1ー2-6 ●売掛金(資産)と買掛金(負債)の増減がある場合
3 間接法によるキャッシュ・フロー計算書の作り方
(1) キャッシュ・フロー計算書の作成手順
- 【ステップ1】前期と当期の貸借対照表の差額を計算する
- 【ステップ2】現金(キャッシュ)以外の貸借対照表項目をキャッシュ・フロー項目に置き換える
- 【ステップ3】キャッシュ・フロー項目を並べ替えてキャッシュ・フロー計算書を作成する
(2)キャッシュ・フロー精算表
- 【ステップ1】
- 【ステップ2】
- 【ステップ3】
(3) キャッシュ・フロー計算書作成に必要なデータ
- 前期および当期の貸借対照表
- 当期の損益計算書
- 総額表示が必要な貸借対照表項目の増加と減少の内容(増減明細)
- 複数の活動区分に分解が必要な貸借対照表項目の内訳
(4)その他の論点
①キャッシュ(現金及び現金同等物)の範囲
②非資金損益項目
●設例1-3-1 ●減損損失がある場合
③営業活動によるキャッシュ・フローの小計欄に含めない損益項目の調整
●設例1-3-2 ●固定資産売却益がある場合
④外貨建現金及び現金同等物
●設例1-3-3 ●外貨建現金及び現金同等物がある場合
⑤為替差損益
●設例1-3-4 ●為替差損益がある場合
⑥貸倒引当金
●設例1-3-5 ●貸倒引当金がある場合
⑦自己株式に係るキャッシュ・フロー
●設例 1-3-6 ●自己株式がある場合
⑧消費税等に係るキャッシュ・フロー
●設例 1-3-7 ●未払消費税等がある場合
⑨ 外形標準課税
●設例1-3-8 ●未払法人税等(外形標準課税分)がある場合
⑩利息及び配当金の表示区分
●確認問題 ●キャッシュ・フロー精算表の作成
第2章 連結キャッシュ・フローの基本
1 連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法
(1)原則法と簡便法
(2)原則法と簡便法のメリット・デメリット
2 原則法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
(1)必要となるデータ
(2)設例による解説
3 簡便法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
(1)必要となるデータ
(2)設例による解説
4 非支配株主持分がある場合の連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法
(1)非支配株主持分がある場合の注意点
(2)設例による解説
●設例 2-4-2 ●簡便法による連結キャッシュ・フロー精算表の作成(非支配株主持分がある場合)
第3章 連結キャッシュ・フロー計算書作成の実務
1 連結キャッシュ・フロー計算書の作成フロー
2 連結キャッシュ・フロー計算書項目の検討
(1)【ステップ1】貸借対照表項目の営業活動、投資活動、財務活動の区分の検討
- 流動資産
- 固定資産
- 流動負債
- 固定負債
- 純資産
(2)【ステップ2】損益計算書項目の営業活動,投資活動、財務活動の区分の検討
- 営業外収益・営業外費用
- 特別利益・特別損失
(3) 【ステップ3】キャッシュ・フロー項目の検討
- 営業活動によるキャッシュ・フロー項目
- 投資活動によるキャッシュ・フロー項目
- 財務活動によるキャッシュ・フロー項目
- 損益計算書項目に紐づくキャッシュ・フロー項目
3 連結パッケージの整備
(1)連結パッケージの必要性
② データ収集のタイミング
(2)貸借対照表項目の細分化の検討
- 現金及び預金
- 未収入金
- 未収収益
- 前払費用
- 未払金
- 未払法人税等
- 未払費用
- 前受収益
(3)損益計算書項目の細分化の検討
①売上原価
●設例3-3-1 ●売上原価に含まれる減価償却費
②為替差損益
●設例3-3-2 ●為替差損益の取扱い
③営業外収益・営業外費用,特別利益・特別損失
(4)総額表示勘定科目の増減
- 有形固定資産
- 無形固定資産
- 投資有価証券
- 貸付金
- 借入金
- 資産除去債務
- 資本金
- 新株予約権
- 自己株式
4 連結キャッシュ・フロー計算書のチェックポイント
(1) 間接法による連結キャッシュ・フロー計算書のチェック
(2) 営業活動によるキャッシュ・フローの区分の小計欄の下
(3) 投資活動によるキャッシュ・フローの区分
(4) 財務活動によるキャッシュ・フローの区分
(5)営業活動によるキャッシュ・フローの区分の小計欄の上
(6) 現金及び現金同等物に係る換算差額
(7) 現金及び現金同等物の期首期末残高
第4章 連結キャッシュ・フローに関する各種論点
1.子会社の増減資に関する連結キャッシュ・フロー
(1)増減資があった場合の考え方
(2)有償増資(100%子会社の場合)
●設例4-1-1 ●有償増資(100%子会社の場合)
(3)有償増資(非支配株主が存在する場合)
●設例4-1-2 ●有償増資(非支配株主が存在する場合)
(4)第三者割有償増資(親会社が増資を引き受けた場合)
●設例4-1-3 ●第三者割有償増資(親会社が増資を引き受けた場合)
(5)第三者割当有償資(親会社が増資を引き受けなかった場合)
●設例4-1-4 ●第三者割当有償増資(親会社が増資を引き受けなかった場合)
(6)有償減資(100%子会社の場合)
●設例4-1-5 ●有償減資(100%子会社の場合)
(7)有償減資(非支配株主が存在する場合)
●設例4-1-6 ●有償減資(非支配株主が存在する場合)
2 連結範囲の変更を伴わない子会社株式の追加取得・一部売却の連結キャッシュ・フロー
(1)連結範囲の変更を伴わない子会社株式の追加取得・一部売却の考え方
(2)追加取得の場合(持分比率が増加した場合)
●設例4ー2‐1 ●追加取得の場合(持分比率が増加した場合)
(3)一部売却の場合(持分比率が減少した場合)
●設例4-2-2 ●一部売却の場合(持分比率が減少した場合)
3 新規に連結子会社となった場合の連結キャッシュ・フロー
(1)新規に連結子会社となった場合の考え方
(2)新規設立(100%子会社の場合)
●設例4-3-1 ●新規設立(100%子会社の場合)
(3)新規設立(非支配株主が存在する場合)
●設例4-3-2 ●新規設立(非支配株主が存在する場合)
(4)株式を取得して連結子会社とした場合
●設例4-3-3 ●株式を取得して連結子会社とした場合①
●設例4-3-4 ●株式を取得して連結子会社とした場合②
●設例4-3-5 ●株式を取得して連結子会社とした場合(非支配株主が存在する場合)
(5)非連結子会社を連結する場合
●設例4-3-6 ●非連結子会社を連結する場合①
●設例4-3-7 ●非連結子会社を連結する場合②
4 連結除外の場合の連結キャッシュ・フロー
(1)連結除外の場合の考え方
(2)清算による除外(100%子会社の場合)
●設例4-4-1 ●清算による除外(100%子会社の場合)
(3)清算による除外(非支配株主が存在する場合)
●設例4-4-2 ●清算除外(非支配株主が存在する場合)
(4)売却による除外の場合
●設例4-4-3 ●株式を売却して子会社を除外した場合①
●設例4-4-4 ●株式を売却して子会社を除外した場合②
●設例4-4-5 ●株式を売却して子会社を除外した場合(非支配株主が存在する場合)
(5)重要性の低下による除外の場合
●設例 4-4-6 ●重要性が低下したことにより連結子会社を除外する場合
5 そのほかの論点
(1)固定資産の未実現利益消去がある場合
●設例4-5-1 ●親子間で固定資産の売買取引がある場合
●設例4-5-2 ●売却側が売上高,取得側が固定資産の場合
(2)持分法適用会社がある場合
●設例4-5-3 ●持分法適用会社がある場合
第5章 在外子会社がある場合のキャッシュ・フロー
1 在外子会社がある場合の論点
2 個別キャッシュ・フロー計算書の作成
●設例5-2-1 ●在外子会社の個別キャッシュ・フロー計算書の換算
3 在外子会社がある場合の原則法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
●設例 5-3-1 ●原則法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
4 在外子会社がある場合の簡便法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
(1)為替影響額の算定
●設例5-4-1 ●在外子会社の為替換算調整勘定の分析
(2)在外子会社がある場合の簡便法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
●設例5-4-2 ●簡便法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成:291
5 固定資産の増減がある場合
●設例5-5-1 ●簡便法による連結キャッシュ・フロー計算書の作成
6 存外子会社とのキャッシュ・フロー内部取引消去
(1)営業活動
●設例5-6-1 ●営業活動によるキャッシュ・フロー内部取引がある場合
(2)金銭貸借
●設例 5-6-2 ●金銭貸借のキャッシュ・フロー内部取引がある場合
(3)配当金,増減資等の資本取引
●設例5-6-3 ●資本取引のキャッシュ・フロー内部取引がある場合
●設例 5-6-4 ●資本取引のキャッシュ・フロー内部取引がある場合(非支配株主が存在する 場合)
(4)在外関連会社がある場合
●設例 5-6-5 ●在外関連会社がある場合