連結決算に必要なスキルセットとその取得方法

監修者:公認会計士 飯塚 幸子

連結決算業務は、高度な専門知識と実務スキルが求められる分野です。企業グループ全体の財務データを正確かつ迅速にまとめ上げるためには、担当者が幅広いスキルを身につけている必要があります。

本記事では、連結決算担当者に求められる主なスキルセットと、それを効率的に習得する方法を解説します。

必要なスキルセット

連結決算を担当するためには、いくつかの重要なスキルが必要です。

その中でも特に重要なものを以下に紹介します。

1. 会計知識

連結財務諸表の作成には、日本基準、IFRS(国際財務報告基準)、US GAAP(米国会計基準)といった複数の会計基準に精通し、それらの違いを正確に理解する能力が不可欠です。

特にグローバルに展開する企業では、各子会社が異なる会計基準を使用している場合があり、それらを統一する作業が必要になります。

2. 財務データの分析力

各子会社から収集した財務データを統一フォーマットにまとめ、整合性を確認することが連結決算の基礎です。

また、財務諸表の傾向を読み取り、潜在的な問題を発見する力も重要です。

3. ITスキル

現代の連結決算業務ではITスキルの重要性が高まっています。

ExcelやERPシステムの操作スキルはもちろん、RPAやデータベースの活用能力も必要とされます。

これにより、データ処理の効率化やエラーの削減が可能になります。

4. コミュニケーション能力

連結決算業務は、グループ各社の財務担当者や外部監査人との円滑な連携が求められるため、専門用語をわかりやすく説明する能力が重要です。

5. プロジェクト管理能力

プロジェクト全体を管理するためのプロジェクト管理スキルも必要です。

スケジュールを策定し、タスクの進捗を管理することで、納期を守りながら正確な連結決算を実現します。

スキルの取得方法

これらのスキルを効率的に習得するためには、さまざまな方法があります。

1. 専門資格の取得

専門資格の取得は非常に有効な手段です。

公認会計士や税理士、簿記1級といった資格は、会計基準の理解や実務スキルの向上に役立ちます。

これらの資格を取得するためには、オンライン講座やスクールに通いながら、試験対策を行うことが推奨されます。

2. 実務経験

実務経験を積むことも、スキル習得に欠かせないステップです。

OJT(オンザジョブトレーニング)を通じて、実務の中で必要なスキルを身につけることができます。

経験豊富な指導者やメンターからフィードバックを受けながら業務を進めることで、理論と実践を結びつける力が養われます。

3. 外部セミナーや研修

外部セミナーや研修への参加も効果的です。

最新の連結決算手法や会計基準を学ぶ機会として、専門機関が主催するセミナーやコンサルティング企業の研修プログラムを活用することができます。

これにより、実務に応用できる具体的な知識を得ることが可能です。

4. ITスキルの強化

ITスキルの向上にはオンライン学習プラットフォームを活用すると良いでしょう。

Excelや会計ソフトの操作スキル向上を目的とした講座や、ERPシステムやRPAツールの使い方を学ぶトレーニングが推奨されます。

こうした学習リソースを利用することで、実務で即戦力となるスキルを効率よく習得できます。

5. 社内研修

社内研修を積極的に活用する方法もあります。

企業内で行われる連結決算業務に特化した研修は、実際の業務に即した内容を学べるため、実務への応用がしやすいという利点があります。

ケーススタディやワークショップ形式のトレーニングを通じて、より深い理解を得られるでしょう。

まとめ

連結決算担当者に求められるスキルセットは多岐にわたりますが、それらを効率的に習得する方法も数多く存在します。

専門資格の取得、実務経験の積み重ね、外部研修やITスキルの向上を組み合わせることで、業務に必要なスキルをバランス良く習得できます。

企業としても、これらのスキルを持つ人材を育成することで、連結決算業務の効率化と品質向上を実現できるでしょう。

関連記事